介護は安全が第一ですが、ヒヤリハットと呼ばれる事例が起こることもあります。介護の職場で起こりやすいヒヤリハットの1つが、「転倒」です。どのような事例が報告されているのでしょうか。
転倒は歩行時やベッドや椅子から立ち上がるときなど、日常のさまざまな動作で起こりやすく事故です。高齢者は足の筋肉が衰えてふらつきやすく、膝から崩れ落ちたり、わずかな段差でけつまずいたりと、転倒のリスクを常に抱えています。また、膝などの関節を痛めている人も多く、階段の上り下りも、転倒しやすく危険です
ある介護施設では、ふらつきながら歩いている利用者に後ろから「大丈夫ですか?」と声を掛けたら、振り返るときにバランスを崩して転倒しそうになった、という事例がありました。
また、靴のマジックテープがはがれており、上手く歩けなくて転びかけたという事例もみられました。
車椅子から立ち上がるときの、ヒヤリハットも報告されています。車椅子のブレーキをうっかりかけ忘れ、立ち上がるときに転倒しそうになったとのことです。浴室もぬれて滑りやすい上に、のぼせてフラついて転倒しかけたという報告が多くみられました。
利用者の転倒だけでなく、職員自身が転倒しかけたというヒヤリハット事例も少なくありません。浴室の清掃中に、すべって転びかけた。訪問介護で2階に車椅子を運んでいるときに、階段を踏み外して転げ落ちそうになったなど、業務中に自分自身が転倒しかけることもあるので、注意が必要です。